Angel Beats! 第4話の感想

今回だけかもしれませんが、まさかのオープニング変更。(OPでの)校長室の壁に「鎮魂歌」と書かれていますが、これは岩沢さんへのものなのか、あるいは全体にかかるのか、それとも、ひとつ屈折を効かせて(つまり直裁な意味での鎮魂歌ではなく、比喩とか隠喩とかひとつ捻った意味で)、まったく別の何かに・何かにもかかるのか。校長室の片隅に岩沢ギターが置かれていますし、そういう意味で、まずこれは岩沢さんにかかっているのでしょうが……。

    • ちなみに、校長室の「あの位置」に書かれていた文字は、第1話:松坂牛(松屋牛)、第2話:マニア、第3話:俺の嫁、第4話:逆鱗。第1話は肉うどん繋がり、第2話は……なんだろう、第3話は岩沢さんが俺の嫁?第4話はユイの逆鱗に触れて逆エビ、――――とか読めないこともありませんが、無理があるといえば無理があるので、(本編中のソレに関しては)そこまで深い繋がりは意識されてないかもしれません(=緩い繋がりは意識されてるかもしれません)。
    • 前回までのオープニングは天使が演奏するというカタチでしたが、今回はユイが演奏するというカタチ。しかもまるっと天使と入れ替わるような格好で(※前回まではユイの出番なし、今回は天使の出番なし / 天使→キャラ紹介→天使→キャラ紹介→天使…… というOP形式の「天使」の部分が、殆どそのまま「ユイ」に置き換わっている)。造形的にも、悪魔の尻尾とちっちゃな羽を持つというユイのそれは、ある意味天使(から想像されるもの)と対称的であるかのよう。背丈は同じくらいながらも、無口な天使とアホでうるさいユイというように、内面の逆性。さらに、セカンドフライが天使の策略だったとすると、それを(無意識で)止めたユイはまさに天使の真逆、天敵、対称的な存在、となるでしょう
      • …………とか書きつつ、それはどうなのかなーと自分でも思うのですが。たとえばキャラ設定的な対応は(天使とユイで)なされてなくても、アホなユイが思いがけず入念に仕込んだ天使の何かを打破してしまうような(※現に今回がそうかもしれませんが)、そういうような対称性はあるかもしれません。
  • まるでゆりっぺが「理不尽」に見えるのがすごいところ。つーかゆりっぺさんがもう理不尽に酷い人にしか見えないんですケド。もしも上司がゆりっぺさんだったらボクは逃げるよ!
    • 「よし。順当に戦線チームが勝ちあがってきてるわね。みんな死より恐ろしい罰ゲームとやらを怖れて必死ね。滑稽だわ」「天使の思うままにならないことなんてかつてあったかしら……いい気味ね」「天使にフェアにぎゃふんと言わせようとしてたのに……まったく使えない連中ね」「二人とも……消えてくれ」    今週のゆりっぺさん語録。しかも、自分は参加せず命令して遠くから見ているだけなのにこんなこと言っちゃうのが凄いところ。ヤダゆりぺさん上司にしたくないキャラNO.1すぎ……!つーか第1話から思い返してもこのひと、ある意味では理不尽の嵐じゃねーですか……。 ゆりっぺは理不尽に抗う=抗議するために神へ復讐する(と語られている)のですが、しかしその行動は、何処かの誰かに理不尽を強いることになっています。理不尽に抗うものもまた、誰かにとっての理不尽である。よりによって先週「神なんていないかも、あの子は天使なんかじゃないかも」と言った後の今週コレですから、よりです。この行動が、天使への嫌がらせ(よく言ってもせいぜい牽制)のように見えてしまう(実際「天使の思うままにならないことなんてかつてあったかしら……いい気味ね」「天使にフェアにぎゃふんと言わせようとしてたのに」―――この発言ですからね)。もちろん、こういうゆりっぺが強調されているのはワザとだと思われるのですが。たぶん。
  • さらにNPCが良く分からなくなりました。本当にNPCかよ……あるいは、NPCという言葉の内実はどういうものなのだろうか、的な意味で。特に生徒会副会長なんかはどうなのでしょう、NPCというより天使と同じ部類の何かと捉えた方が近そうな気がします。
  • 指一本で竹箒を支え続ける(ぐらぐらと揺れながらも、最後まで)――というのは、のちのち椎名さんの内面を考えるに重要に(メタファー的な感じで)なってくるかもしれないなと思いつつメモ。
  • 打球をそのまま弾き返す、ボールを全力で投げ返す野田と音無――というのも、二人の関係や野田の内面を考えるに上と同じになってくるかもしれないかもと思うのでメモ。

「何があったんだ」「わかんねえ。よく覚えてねえんだ」
「それを捕れたのか、落としちまったのか、それだけは思い出せねえんだ」
「いや、捕れてたんなら忘れるわけねえよな」
「きっと捕れなかったんだ」

そこから、(思い出される、)続き(の記憶)。
勝山さんが「フライが取れたか取れなかったかに関する記憶と、その後の記憶が同質のものなのかが判断できない」(http://twitter.com/katu_peke/status/12717510803)と仰っていて、確かに、これ、描かれ方を見ると何かひっかかる部分があります。覚えてないとかいいつつ、そして実際に覚えていなかったのに、「いや、捕れてたんなら忘れるわけねえよな」「きっと捕れなかったんだ」と(モノローグで)言った直後に、「捕れなかった」続きが挿入される(しかも「思い出した」とかそういう独白は無しで、唐突に)。
「きっと捕れなかったんだ」ではじまる続き、これは本当に日向の生前の出来事なのか、あるいは、そうだとしても、この映像は日向が思い出しているソレなのか? という疑問が入る余地があるような作りではあります。またこの挿入のされ方も、なんか変な唐突さ。まるで、「きっと捕れなかったんだ」、ここで分岐したかのよう(「捕れてた」と日向が思えば、捕れてた続きがはじまっていたのかも、と思わせるくらい)。

や、そんな意味はないかもしんないですけど。なんか邪推させるなーと思っただけでw


さて、最終回ツーアウト1点差ランナー2・3塁で簡単なセカンドフライという状況、これが偶然であるのか、あるいは天使ちゃんなり副会長なりの誰かが狙ってやったことなのか。路上に出ていたときの彼女と被る姿になったら、急に不自然に教師が立ちすくんだ、岩沢さんのときもそうだったのかもしれません。「成仏する」ような状況を作り出している誰か(=天使)がいる。
かもしれないし、そうじゃないかもしれない、というところが相変らず面白いですね。ABはいつもこう、推理したり考えたりする要素を提示してくる作品で。
さて、天使の策略だったにしろそうじゃなかったにしろ、いずれにせよ、日向の「成仏するかも」を止めたのは、ユイのまるで空気を読んでいないかのような行動でした。別にユイは、日向がボール捕ったら成仏しちゃうかも*1しれないから強引に止めたのではなく、アホだから隙ありーと言って攻撃に移っちゃった*2。最終回一点差一打逆転のピンチでこんな行動するなんて誰が考えつこうか。アホが考えつこう。つまりアホが、死(=終わり)をも打破する、乗り越える。定められた終わりという限界を、アホが無意識に超越していく(可能性を持っている)。

ですがそうなるのは条件があって、たとえば今回、何でユイがここで攻撃に移ったかというと、端的に言えばこれまで日向に散々攻撃をくらったすの仕返しなんですが、もうちょい細かくみてみると、その直接的な動機が浮かんできます。

1回目・「ゆいにゃん」 → 日向「そういうのがムカつくんだよ」 → ユイ「ギブギブギブ」
2回目・俺らも途中参加させてとお前もお願いしろよと振ったら、「本気でこいや」とユイが大挑発 → 日向「ドスきかせてどうすんだよ」 → ユイ「か、間接が砕けます、ホームランが打てなくなります」
3回目・生徒会チームに「頭洗って待っとけよな」と挑発 → 日向「お前は2三振だったろうが。あと洗うのは首だ、頭だったら衛生上の身だしなみだ」 → ユイ「い、痛いです〜」
4回目・音無が松下五段を勧誘して外野の守備につけさせたのを見て → 日向「よーしよくやった。これで外野の守備もバッチリだぜ」 → ユイ「あ〜痛い痛い、なんでアタシが〜〜!ギブギブ!あとで殺す」

「あとで殺す」という思いをユイに抱かせたように、4回目のが決定打になっているんですね。そして4回目は、これまでと異なって何の脈絡もない。これまでは一応、ユイに対するツッコミ的な意味合いで用いられていて、実際4回目だけに「なんでアタシが」「あとで殺す」が入るように、それまではユイ自身も何で攻撃されるのか分かっている・道理が立っているものだったのですが、4回目の日向の攻撃、松下五段が加わったときは、ツッコミでも何でもないというか何の脈絡もない卍固め。これが「あとで殺す」→セカンドフライを見つめる日向の隙をつく、に繋がっているのでしょう。たとえば、松下五段加入のときに日向がユイにとってはやられる道理がない「理不尽な」卍固めをしなかったら、果たしてユイはあの時・あのタイミングで仕返しをしようと思っただろうか。ぜってー仕返ししてやると思わせるだけの(ある意味アホな)行動を日向が取ったからこそ、あそこでユイの攻撃が生まれた。アホなら勝手に終わりを乗り越えるのではなく、そんな行動をさせてしまうくらいのアクションを既にこちらが取っていたから、ということでもあるのでしょう。

*1:実際にボール捕ってたら成仏しちゃったのかどうかは不明ですが。

*2:ちゃんと分かってて(けどアホに見せかけて)やった可能性も勿論ありますけど。