パンツにご飯が盛られてる!?



「パンツにご飯が盛られてる!?」
というのが、これを見た率直な感想でした。おそらく。あ、『けいおん!』第6話のおはなしね。
「おそらく」というのは、それと同時に、半分くらい、なんかわけわかんねーという気持ちもあったからです。

なんかわけかんねー。

だってさ、パンツだぜパンツ? 普通パンツにご飯なんて盛らないよ、つうか盛れないよ! パンツにご飯を盛るなんて、どんな変態のやることなんだ、そりゃソフトオンデマンドあたりなら既にやってそうな気もするけど、普通の人は盛らないし、その発想すらない。てゆうか、そもそも盛れないじゃん。こぼれちゃうじゃん。パンツにご飯盛っても立たないじゃん、ぐちょってなるだけじゃん。え、てゆうか、もっとそもそも、これパンツじゃなくてお茶碗じゃないかって? たしかにそうです、お茶碗です。紳士的な発想をなさる。でもなんかさー、これ半分パンツじゃん。お茶碗であると同時にパンツじゃん。いやパンツじゃないんだけど、でもパンツであると同時にお茶碗じゃん。いやパンツじゃないんだけど……

つまり、なんかわけわかんねー。
でもですね、普通にパンツ描かれるより、何倍もエロかったです、これ。そう思えた。




澪が転んでパンツ丸見え! なんだけど、パンツを描かないで、その「柄」と思わしきものだけを描く。
これだけでも、たしかにパンツ的でしょう。
描かれたのは柄だけだけど、この流れで見せられれば、あれはパンツじゃないですか。パンツそのものではなくとも、パンツを表象するものではないですか。
しかし、しかしながら、この2枚目の縞模様は、そのままぐ〜っとズームアウトして、

この絵に至る、「実はこれはお茶碗でした」ということが明らかになる。実はこれはパンツじゃないです、パンツそものを描いてないです、パンツのイメージを直裁に描いたわけでもないです、実はお茶碗なのです、お茶碗だから恥ずかしくないもん!

ある一つの絵とある一つの絵の組み合わせにより、そのふたつとは異なる(ひとつひとつとも異なるし、ふたつの総和とも異なる)新たなイメージが創出される。転んだ澪と、パンツに用いられるような柄の組み合わせは、わたしたちに「パンツ」を、容易にそこにイメージさせる。だがしかし、それだけではない。さらに「お茶碗」が、そこに追加される。「パンツ」であったのが、「お茶碗」でもあった。
ここに恐ろしい跳躍がある。なぜかパンツがお茶碗と結び付いてしまっているのだ。
パンツとお茶碗は、本来結び付かない。もちろんある種の変態さんには結び付いて当然かもしれないし、ソフトオンデマンド的などこかでは当然のように結び付いているのかもしれないが、わたしたちにそれは無い。しかしこのイメージにおいては、そこが結び付けられる、そのような跳躍が為されている!

そこには、なんかわけわかんねーところが、半分くらい生まれる。

本来結び付かないものを、無理矢理結び付けさせられてしまうのです。本来結び付かない以上、そこには形式的な、コード的な意味はない。ここに見出す意味は殆ど完全に個人のものとなっている(あるいは、個人のものかのように思えてしまう)。だからねー、エロいんすよ、これ。直截な結びつきじゃないし、常識や経験に頼れないから、個人的にこいつを引き受けるしかない。「これ」っていうか、記したとおり「個人のもの」なので、そこにエロさ見い出したのおめーだけだよと言われるとぐうの音も出ないんですけど。いやそれにしても、てゆうかそうだからこそ、個人的にはエロい。普通にパンツ描かれるより何倍もエロい。
もうなんかわかんないっすけど、あれですよ、こう光り輝くように白く美しい豊満なわがままボディが、はちきれんばかりに、溢れださんばかりに、パンツからはみ出しそうになってるんすよ(=ご飯がお茶碗山盛りに)。時刻は深夜2時半ころ(放送時間)、そろそろ小腹も空いてきたなぁってところに、性欲的なパンツと、食欲的な山盛りご飯が合わさって、なんか本能的な欲求がわめき声をあげるんですよ。食卓とパンツ、口に含むものと下着が組み合わさるという、本来ありえない結びつきが、それだけで背徳的な興味を、あるいは変態的な興奮を誘うのですよ。みたいな。
だからエロい。
わけわかんねーというのは、どこかに回収できない不明さということでもあり、そしてそれが、本当にどこにも回収できないとなると、自分自身で回収するしかなくなる。そうなると、全部自分で引き受けることになるんです。そいつはそれゆえに、ありとあらゆる幻想や想像を孕ませられるし――「エロ」は、幻想や想像に強く立脚する――、不明や不解も戯れるようにもてあそぶことができる。
ただパンツを描くことよりも、ただパンツを表象することよりも、さらに一歩先のエロさが、この自身に回収したくなる(するしかなくなる)意味不明さを介して、ここに存在する。そのようなイメージでした。
※いくつかのブログの感想見たけど、これに「エロい」とか言ってる奴が自分しかいなかったので、ちょっと不安w