壷漁りの定向進化

で、その『ロストオデッセイ』は、よくドラクエなんかであるように、民家や商店の壷とかタンスとかを探ってアイテムゲット出来るのですが、これがなんだかシュール。グラフィックは綺麗で緻密に描かれている分、ヒトん家の壷などを漁っている姿がシュールすぎる。
スーファミあたりのグラフィックなら、キャラクターやオブジェクトの存在が記号としてのものでしかない、リアリティの薄いものだったからそういう行為も許せた、つうか、なんか可愛らしい妖精さんが壷漁ってる、的に見れたんだけど。このグラフィックでそういうことやると、明らかに犯罪者か変人にしか見ることが出来ない。周りのヒトがこっち見てるけど、気にせず壷を漁るカイム。やったぜ、100Gゲットだぜ!ヒトん家のモノだけどな!お前のものは俺のもの!

こういうのとか、街中で走る者など誰一人いないのに、ひとり颯爽と(変なモーションで)走るカイムさんとか見ると、一気にリアリティがなくなって、「あー、このキャラも、ついでに通行人もオブジェクトも所詮は記号だなー」と思えてきてしまう。そうなってくると、大人の姿をした妖精さんみたいになって面白いのだが。

で、この古き慣習の壷漁りやタンス漁り、どうせだからもっと突き詰めていったらどうか。今はちょっとしたお金やショボイアイテム(たまにレアもある)が基本だが、物語の進行に必要不可欠なものを壷の中に入れたり、タンスを開けなければフラグが立たず先に進めなくなったり、王様から「この世界の壷のどこかに魔王が潜んでおる!探し出して倒すのだ!」と言われ世界中の民家の壷を割りまくったり。壷の中にひきこもっている魔王がはたして危険なのかどうかはさておいて。そういった進化を遂げれば、RPGの殻をぶち破ることが出来るだろう。もちろん、逆方向にだろうけど。
むしろ、壷を割らずにそのままパクッて装備、とかのが面白いかも。世界中の民家の壷を盗みまくって、強くなりまくる物語。「アリアハンの勇者の家の台所にある壷、すげーぜあれ、攻撃力超高いぜ。きっとオルテガの遺品だな」「ばっか、真に強いのはイシスの民家にある壷だよ。おばーちゃんがいるあの家。ウメボシ入っててさ、そのすっぱさが無敵級なんだよ。きっと丹精込めて作ったんだぜ」などという会話が、小学校の教室で繰り広げられることになるのだ。
最終的には、ラスボスが壷とか。いや、主人公が壷か。いやいや、登場人物が全て壷とか。いやむしろ、世界そのものが壷……?