クラナド15話、第一印象

諦めざるを得なかった、人たち。
打ち込んでいたものを、怪我によって取り上げられてしまった人。
ひと時の感情の暴発で、全てを失くしてしまった人。
生まれつきの体の弱さで、今まで、たくさん、たくさんのことを、諦めてきた人。


自分が、一生懸命だったことを。自分が、唯一誇れることを。自分の、大切な夢や、気持ちを。
諦めて、諦めて。
進もうとすると困難がある。前を向くと壁がある。道を歩くと必ず、坂道だ。


それでも。
沢山のことを諦めてきたんだけど。
全部を諦めている訳では無い。「諦めない」という気持ちを、諦めてはいない。だからもう一度挑戦する。
前のはダメだったけど。今度は違うことを。困難があるし、壁もあるし、おまけに坂道だけど。それでも、歩んでいく。負けそうな時は、誰かの力を借りて。誰かが負けそうな時は、自分の力を貸して。そうやって、歩いていける、道。


"ここ"。
今いる場所は、諦めなかったから辿り着けた場所。ううん、本当は「辿り着けた」じゃない。ここはまだ途中。でも、この『途中』だって、頑張らなければ着くことは永遠なかった、場所。


そんな彼女たちに、新たな困難。
今度は、自分と同じ様に頑張っている誰かを、蹴落としていると自覚しながら蹴落とさなければ進めませんよ、という壁。

それに。
その壁に対して、渚は。
『諦める』という選択をする。(選択も何も、この場合は、ハナからこれしか選択肢が彼女の中で存在しないのだろうけど)


ここまで来れた事も、この先の行きたい場所も、歩き始める前の、最初の一歩を踏み出す前の事も。存分に覚えていながら。十分に感謝していながら。
それでも、「この道はここで終わり」と、決める。


……一度、諦めてから。違う道を見つけ出し、そこに進もうと決めて、実際に歩き出すまで。どれだけの勇気がいるのか。どれだけの頑張りがいるのか。
それら全てを分かった上で、笑顔で、諦めることを告げる。
それら全てを分かった上で、こっそり、後を向いて泣く。


「不器用だけど頑張って、ここまで来たんだ」


ああ、もう、涙が止まりません!こんだけ汲み取っていながらこんな選択が出来る渚の強さに。成長に。頑張ってきたことの尊さに。


という前半部とは打って変わって、後半部は一転コミカルに。いや、前半部とは、ていうか、渚が泣いて朋也が肩抱いた直後の、杏が凄い勢いでダッシュしてきた瞬間に、涙の感触は消えていたのですが。こういう仲間が出来たことを取ってみても、今までの頑張りの日々は無駄ではない。もちろん、それだけじゃないけれど。
しょっちゅう顔を赤らめる朋也くん(&渚など)は、なんかもうフツーにカワイイ。監督さんが「あえて子供っぽい感じのキャラデザにしている」みたいなこと語っていましたが、こういう所にも、その「子供っぽい感じ」を見て取れます。
こういう所も、まだまだ、歩く道の途中なんでしょう。