化物語 第3話

やべえ、すげえ、すばらしい!!

なんといっても、我らが八九寺、八九寺真宵さんですよ! 八九寺真宵ちゃんですよ! 八九寺真宵先生ですよ! 八九寺のその、超小学生級の超洒脱級会話を聞くだけで我々の脳内は幸せで満たされるのですよ! ……しかし凄げえなこのアニメ、これで三週連続パンツ丸出しじゃねえか……!

えっと、そういうの抜きにしても、素で凄かったですね。パネかったです。んー、普通に凄かったというべきでしょうか。つまり僕なんかにも「すげえ」と自分が思っているのが分かるくらいに普通な意味で凄かったな、と。まず目に付いたのが、序盤で、ベンチに座る戦場ヶ原と暦の影に、よくわからん火みたいなオブジェの影が重なって、まるで「傘」みたいになってるところがあったのですが(「火のオブジェ」を「火憐」の暗喩か何かその辺と捉えるのも面白そう)、そういう、別の「層」が何かを示唆する(表す・暗示する・隠喩する)、みたいなのが目立ちましたし、それに、凄くいい感じでしたね。
たとえば「柱」ですね。これはまあ、なんだろう、……該当箇所がウルトラ多いし、そして明らかに見れば分かる系なので、ここで何か言うのを割愛したいくらいなのですが。戦場ヶ原の最初の登場時から、それは「柱」という分断=不明瞭が入っていましたが、会話時も非常に「柱」が効果的でした。たとえば二人の間に(構図的に)配される「柱」とか、あるいは、たとえば暦が「戦場ヶ原が告白するんじゃないか」と勘違いしてしまったセリフのところ、そこで戦場ヶ原の顔を横切る「柱」(カメラが動いた結果ですが)とか。何かしら「距離」的なものが孕まれていたり、後者ならこの分断がその「勘違い」を共同している。その逆としては、「やりまくりよ」のところなんか面白いでしょう。その会話中、ずっと「柱」が(平面的に見れば)両者を分断しているのだけれど、戦場ヶ原が嘘をやめて、自分が暦と同じ立場だと告白するとき――「阿良々木くんみたいなイカさない童貞野郎と話してくれる女の子なんて、せいぜいあたしのような行き遅れのメンヘル処女しかいないということよ」と述べる時――童貞・処女、どちらも同じく罵倒・侮蔑、そして自分が貴方の話し相手だという関係、つまり暦と戦場ヶ原が絵的にも心的にも同じ場所に立ったとき、二人は同じ柱と柱の間に立っていた。両者を分断するものはなく、故に柱は両者を分断せず。

そのあとBパートでは、あからさまな「柱」の分断は殆どなくなります。暦が「八九寺」の名前聞いたり向かっていくところで分断っていますが……これはもうね、見たまんまなんですが、さらに原作読んだ人間からは「見事」の一言ですね。後々には、八九寺と戦場ヶ原が一緒するところで、「影として」柱の分断が生じています。柱の影がそこに介入している。最低でも、”決して影分”、戦場ヶ原は八九寺にも暦にも立ち入らない。そもそもここでの柱の影の幅がほぼ一人分しかないのですが、それはつまり、そういうことなのでしょう。常に分断されている。本当は。見えないくらい。たまに折り重なる時もあるけれど。
もちろんここでは、見える柱は裏側、見えない柱が前側、というのが最重要です。見える「柱」は裏側――バックグラウンドにあって何も分断していないのに、見えない「柱」=柱の影は表側――人々の前の層に被って、常に分断している。そう、つまり――やべーなこれネタバレっぽいから白文字にしておく、
見える限りでは分断されていないように見えても、本当の柱では分断されていなくても、幻の柱=柱の影で分断されている。分断されていないように見えても、本当は分断されている。それはもちろん、「本当の柱」じゃなくて「影の柱」であるように、『別の層』での分断。『別の層』とは何のことかは、原作読んでる方には言うまでもないし、原作読んでない方は知らないほうが良いでしょう。

とはいえ、「柱」(柱の影)というのは、実はカメラワークの問題でもあります。カメラの場所を変えれば、方向を変えれば、柱で分断されることもなくせるし、逆に柱で分断させることもできるし、そもそも柱が映らないようにすることができる。つまりパースペクティヴ次第で、全ては変わりうるということです。見え方が変わる。見え方が変われば、在り方も変わりうる。たとえばこの公園も、パッと見――普通に見せられてる限りにおいては、まるで、何処にでも遊具があって、何処にも無いような不思議空間だったけれど。パースペクティヴ、アングルが変わり、全体を見渡せるようになれば、「そうではない」ことが分かる。洒落てて、前衛的で、普通の公園とは言いづらいけれど、決して不思議な空間、異常な空間ではないと”見れること”が分かる。その見え方ならば、その在り方で、”在る”。

ということで、えーとなんだっけ、そうそう、八九寺真宵ちゃんの可愛さと素晴らしさと神々しさなんですが、これは来週以降になれば皆様ズバリとさらにご理解頂ける筈ですので、来週以降も楽しみに致しましょう。