「Angel Beats!」オープニング&第2話に関するメモ

なんだかんだいって『Angel Beats!』ってネット上で結構語られてる印象ありますけど、しかし大部分が「設定」「物語・脚本」「作画」であって、演出などの映像面は全然語られてなくてせっかくAB!はアニメでやってるのにそれを語らないなんて寂しすぎるじゃんと思って語った結果が今までに挙げた二つの記事だよ!(http://d.hatena.ne.jp/LoneStarSaloon/20100412/1271013978)(http://d.hatena.ne.jp/LoneStarSaloon/20100406/1270484768)  ということで、あの二つの記事はちょっと強引で、先走りで、牽強付会ぎみなんですが(※それどころかこの記事も含めて、いつものことなのですが)、しかし多少無理矢理やこじつけがあっても、映像面(演出*1)に対してはこれからもアプローチしていきたいと思います。全てはあとでジャンプするための飛び込み台だということで。
で、当然それだけだと語れなかったところがいっぱいあるので、その補填的にメモ。

オープニング

  • 歌が良すぎて死ぬ。(←これは死ねない世界のジョークよ)
  • 暗闇の中、ひとりピアノを演奏する天使。そこに降ってくる光の玉(仮称:何なのか不明だけど、CLANNADのソレに似てるので、便宜的に)。それが彼女の指・鍵盤に触れた瞬間に、世界が(あるいはこの学園が)見えるようになる/顕現する/生まれる、どれなのか分かりませんが、とりあえずその瞬間に世界が現れる。そういやこの世界って学園だけで閉じているんですよね。他には何も存在しない――存在するのかもしれないけど、とりあえず現時点では、この学園の敷地内・その周辺だけでセカイは閉じている。辿り着ける範囲と手の届く範囲に(地勢的には)セカイの全てがある。……のだけど(ように見えるのだけど)、ゆりっぺが探している/求めている/敵対したがっているのは、その狭い世界の中に居るのかどうかも分からない「神」。
  • 名前が表示されるキャラクター紹介。そこにはイメージカラーか、あるいは単純に見栄えの問題かは分かりませんが、「色」がついてます。ゆりっぺと音無くんは「赤色」、日向・野田・高松・椎名さんは「青色」、藤巻・大山くん・松下・TKは「緑色」、バンド組は「黄色」。さて、赤・青・緑・黄の四色を同時に扱ったもので、現在世界でもっとも有名なモノといったら、OSによっては、今みなさんが見ているモニターにも映されてるかもしれないアレがあります。そう、Windowsのマークです。他にも、Windowsと並んでPC・ネット関係で最も有名なGoogleのマークもまた、赤・青・緑・黄の四色のみが用いられています。つまり……その、ほら、この事実によって、AngelBeats!電脳世界説が裏付けられたのです!!(ねーよ)
    • ちなみに、そのキャラ紹介の場面、右上&左下に、コンポの液晶表示部とかによく出てくる……なんかアレがあります(ボクじゃ説明できない物体なので、自分で確かめてw)。彼らの存在自体がビーツ、天使が奏で続ける楽曲の……とか一瞬思ったけど文章にしてみると自分でも何言ってんだかわけわかんね。
  • ただピアノを弾き続けるだけの天使が、ピアノを弾き続けたまま、あらゆる場所に現れる。この世界=学園に彼女が偏在している徴か。そういえば、作戦の話を校長室以外ですると危険だ、と語られてました。これはつまり、校長室以外での会話・出来事は、たとえそこにいなくても、彼女の監視下にある、ということでしょうか。―――ちなみに、ありとあらゆる場所に現れる天使&ピアノですが、ひとつだけ現われなかった場所がありました。それは「校長室」(ゆりっぺが銃握ってた箇所)。あそこが安全だというのは、ワナがあるからだけじゃなくて(そりゃワナがある=安全なら、ギルドも安全な筈だし)、なんらかの効力・理由が存在しているのでしょう。しかもおあつらえむきに「校長」室だしね。生徒会長と何かしらの対応関係の存在を示唆している。
    • ここまで書いてみて、閉じられた世界での天使による管理社会、ならばそれに反抗する存在も物語的には必定だろう(ゆえに敵は見えない神なのだ)……とかちょっと思ったけどそれはだーまえさんっぽくないよなぁ。


  • 天使が演奏している場所で気になるところといえば、この空の上と、どこか分からない部屋の中。空は何かしかのイメージ・象徴だとしても、こっちの部屋は恐らくそうではないでしょう。はたしてここがどこなのか。普通に天使の住んでる部屋なのか、それともゆりっぺか誰かの部屋なのか、あるいは生前のゆりっぺか天使か誰かの部屋なのか。これはそのうち明かされると思いますが。そして、この部屋に関しては、光の玉(仮称)が落ちてきます。
  • そして、落ちてきた光の玉(仮称)が天使の指に・鍵盤に触れたとき。一瞬世界は暗転して、その後、今度は、落ちてきていた光の玉(仮称)が空に舞い上がっていく。これなんてクラナd(ry  「幾億の星が消え 去っていくのを 見送った 手を振った よかったねと」というこの部分の歌詞。これを聞かされると、そうそうに明らかにされた設定、「死後の世界ゆえの成仏」を想起せざるを得ません。そもそもの第一報(http://www.youtube.com/watch?v=3pu9VXuIMmw)。「希望を胸に生まれ落ちる命――天使(かのじょ)はそれを見送り続けてきた」。あるいは、公式サイト(http://www.angelbeats.jp/story/ の天使のところ)。「どうか、彼らが、彼らの物語を終えられますように。手を振って、見送れますように。よかったね、と」。――――――これが本当に、死後の世界かどうかは分からないけれど、それでも、描かれる内容は、その最も大事なところは、どちらにしても大差ないのかもしれない。
    • つか、ボクがだーまえさんで最も大好きな部分です(※勝手に見い出してるともいう)。(http://nasutoko.blog83.fc2.com/blog-entry-81.html)ゴールしていいよねから9年後、最初からゴールしていた沙耶さんは、そんな言葉はブッチして銃弾という現実的な重みにより一瞬でゴールに至るわけでして、その結果が、あのEDの幸せな死に顔なのですが。さあ、ゆりっぺ、あなたは?あるいは天使さん、キミは?と期待せざるを得ない。つーかボクがだーまえの話するとたいていこの流れであって、お前こそいい加減ゴールしろよって感じなのですが。
  • 場面の切り替わりに、ちょくちょく「羽=天使の羽」が入る。さらにOPラストカットでは、天使の翼を持つ天使ちゃんが。


  • はじまりは学園の外側、学園が見渡せる位置で、終わりも学園の外側、学園が見渡せる位置です。光の玉(仮称)が空へと昇り、学園には明かりがつく*2。見送り手である彼女は、どこにでも偏在しながら、常に外側に排除され続けている、あるいは本質的に外側にしか居られない――というのは短絡すぎる嫌いがありますが。
  • 天使は普通に、演奏しているだけである。何処であろうと、室内だろうと屋外だろうと空の上だろうと、周囲に誰がいようと、昼だろうと夜だろうと、光の玉(仮称)が降ってこようと舞い上がっていこうと。周りを気にせず――いや、周りを見もせずに。彼女はただ、自分の楽曲を、精一杯演奏し続けているだけ。自分のやるべきこと*3を一生懸命にやり続けているだけ。時間が変わったり場所が変わったり、光の玉(仮称)が落ちてきたり(やってきたり)舞い上がっていったり(去っていったり)するけれど、それでもただ、彼女は一人黙々と、懸命にピアノを弾き続けるだけ。――――それは本編中における、彼女の姿勢も、示唆しているのかも。

2話本編


  • 「消された学校名」。AB!世界には、世界の構成物の自己修復機能があるのではないかと推察されていますが、にも関わらずここは修復されていません(潰されたままです)。はじめから潰されていたから修復されないのか、修復されない何らかの条件を満たしているから修復されないのか、あるいは自己修復機能なんて無いのか、いずれなのかは分かりませんが、わざわざ「潰されてる」ということを提示するということは、ここに何らかの含みがあるのでしょう。
  • 降下作戦に対して「高いのは得意じゃないっつうか……」とビビる音無くん。死因は落下だったんですね(それは違うアニメだ)。これには、生前に何かしらあったみたいな理由があってもおかしくないでしょう。そういえば第1話冒頭、最初の最初、音無くんが眼を開いたところからはじまりますが、その前に1秒ほど、真っ暗闇のカットが入ります。そこでは、まるで落下していくような「びゅうっ」という風切り音が聞こえる。まったく関係ないっぽいけど、とりあえず。
  • 校長室の壁にかかってる額縁。入り口すぐ左が「毒」、向かって左奥が「松坂牛(松屋牛?)(たぶん)」、右奥が「悦(たぶん)」。先週は「危」、「南紀みかん」、「テトラポット」。毎週変わるっぽいですね。



・降りてきた音無くんを気づかう日向。みんな進行方向(連絡通路の奥)を見ているのに、日向はひとりだけ逆方向・の音無くんの方を向いてる。
「臨戦態勢!」と聞いても棒立ちのままの音無くんを、(危ないから)しゃがませる、というフォローをさり気なくいれる日向。

  • 日向くんがことあるごとに音無くんにホモ目線優しい目線を送ってくるから困る。日向くん→音無くんを注目して見るとヤバイですよー。鉄球から助けるところや「見ちゃいけねえ」などは言うに及ばず、他にも、さりげなくフォロー入れたり、さり気なく気づかってる描写がめっちゃ沢山ある。この降下作戦中、殆ど常に音無くんの近くにいて、彼をさり気なく守ってる(疑問への説明とか言葉でのフォローもしている/つまり心身ともに守ってる)。
    • 八柾さんが興味深い指摘をされてて、「ゆりっぺ母親説が挙がってるけど、電撃オンラインで公開されてる前日譚小説だと、日向もゆりのことを母親と同じ名前だっていってるんだよねー。http://twitter.com/hachimasa/status/11932377561)」。……おお、つまりだ、日向くんが音無にやけに優しいのは、実は音無くんの兄貴or弟だったから、だとか……(うーん)
  • ゆりっぺの過去話。「自然に囲まれた、まるで別荘のような家で暮らしてた」。この学園もまた、自然に囲まれたまるで別荘(というか別世界)のような学園ですが、なにか関係あるだろうかー……たぶんないだろうけどー。
    • 価値のあるものとは何か、何を探せばいいのか、分からない、けれど探す――探さなくてはならない、という状況。
    • 「守りたい全てを30分で奪われた」というのは、アニメの放送時間(枠)の30分とかけているのでしょうか。事実、彼女たちは30分で、全てを奪われたり全てを手にしたりするわけで……(強盗が「30分で」と告げたときのあの家の時計が、TBSでの第2話放映時刻とほぼ同じ時間である約「3時30分」を指していたように(いや偶然だろうけど)
    • ゆりっぺが言ってることって、結構すごいというか、「だからって天使を攻撃していいのか?」という問いに対して何の正当性も持ってないんですよね。あたしが許せないから、あたしがこうしたいから、だからこうする、以上でも以下でもない。だからこそ、1話ラスト「(判断は)まだ早い。俺には、記憶がないのだから」と語っていたように、音無くんが記憶喪失なのはかなり意味があったと思うのですが。記憶喪失だという理由のもと、保留できる(正当性を得る)。
    • よくニュースや新聞で目にする「なんの罪もない犠牲者……」という語句には誤りがあると指摘できて、それは、なんの罪もない人間などいないという点ではなくて、罪に対応する出来事などないという点。罪のある者にやってくるのは「罰」で、ならば何の罪も無い者に「罰」がやってくる謂われは無いのですが、しかし殺人も事故も不幸も理不尽も、別に”「罰」では無い”のだから、罪の在る無しはそこに関わりない。罰ならば、罪がなければやってこない筈ですけど、強盗も殺人も別に「罰」ではないのだから、罪がなくてもやってくるわけです。 「あたしは、本当に神がいるのなら立ち向かいたいだけよ。だって、理不尽すぎるじゃない……悪いことなんて何もしていないのに」。 しかしゆりっぺのセリフはこう綴られる。悪いこと=罪があったら受け入れるのか。罪があったら、そこで起こることは理不尽ではなくなるのか。つまり、理由や必然があれば(罪―罰の対応関係は、理由や必然・因果関係と同じ)、それは理不尽ではなくなるのか。つまり、彼女は理由が欲しいのか。欲しかったのか。「神」という存在は、もちろんそれを持っています(持っているから神である)。
    • で、この過去話は、ゆりの死因ではありません。ゆりが死んだことと、これがどう結びつくのかは不明。死んだことが現在不明である以上、「神へ復讐」する彼女の理由が、この強盗の件だけなのか、それとも彼女の死因も絡みつくのか、その辺も不明。ただ……、






音無くんの「ゆりは、どうして死んだんだ?」という質問に対する反応。「ああ……」と相槌うって、「バカね、自殺なんかじゃないわよ」と返すまでの、この瞬間の表情の変化!(画像上から順番に、一番上が「ああ……」、一番下が「バカね……」。1秒にも満たない間の表情変化)  一瞬だけ見せる、優しいような、懐かしむような、慈しむようなこの表情には、(彼女曰くの)理不尽に対する怒りなどは見て取れません。こういう表情が”できる”死とは、いったい彼女にとってどのようなものだったのか。それが神への復讐に、強盗の件とあわせてどう絡むのか。

  • ゆり「それに、この世界に自殺した人間はいないわ」。  これは怪しいところ。いや、「なぜわかるのか?」という点で。いないことを証明するのは不可能に近い(悪魔の証明)ように、憶測や推測だけで「いない」と断言するのは難しいでしょう。なんらかのルールなり法則なりを知っていないと、こんなセリフは言えないのではないでしょうか。あるいはこれまでのリサーチの結果、自殺の記憶を持っていた奴はいなかったので、そう判断したのかもしれませんが。
    • しかし「自殺した人間が抗うわけない」というのは、さすがに事実と異なる(抗う奴もいるかもしれない、そもそも自殺とは今生きてることへの抵抗だ)(まあこのセリフ自体は、ゆりっぺの自殺をいぶかしんだ音無くんを安心させるためのものである可能性もありますけど)。
  • ギルドのモブ連中の言動が、全員右へならへのマスゲーム状態という、「NPCよりNPCっぽい」言動なんですけど、これには「実は彼らはNPC」という真相とか「生きてる人間だって、ルーチンに支配され社会に支配されたNPCと大差ない」という批評性とか隠されているのでしょうか。
  • 「大切なのは記憶」「この世界では命あるものは生まれない、けどカタチだけのものは生み出せる」「構成する仕組みと、作り出す方法さえ知っていれば、何も必要ない(無から生み出せる)」「本来あたしたちは、カタチだけのものに記憶で命を吹き込んできた」
    • なんかすげー核心っぽいこと言ってますよー。記憶が大切で、場所や道具は失ってもよくて、だからここを破棄して逃げる、ということは、天使は記憶をどうこうする能力を持っているということでしょうか。じゃなければ、極端な話、死なないのだから、天使から逃げる理由が(痛いの嫌だしか)ない。それなのにこういう対処を取るということは、天使の攻撃は死――肉体の傷だけではなく、他の何らかの効果ももたらすということかも。
    • 「本来あたしたちは、カタチだけのものに記憶で命を吹き込んできた」。  この世界で命あるのものが人間以外にいるのかどうか分からないけれど(第一話で鳥の鳴き声はあったけれど(物語世界外のSEかもしれないけど))。もしひと以外に居ないなら。もしかしてこの世界のひとたちって、「本来」と云うように、そして「あたしたち」というように、ゆりっぺたちによって、そうやって作り出されたとか?(※ボクの設定予想・真相予想・展開予想はことごとく外れます)


  • 音無くんの、天使へのタックル。はじめて天使に直に身体が触れた瞬間。そのちょっと後、「思わず助けちまった……何やってんだ、俺」という音無くんの独白。これはもちろん、助けたこと=タックルしたことについてですが、「思わず」というのが面白い。第1話で、天使と敵対することに対して「記憶がないから判断保留」としていたのに、ゆりっぺvs天使においては「思わず」体が動いてしまった*4「お前すごいよ。みんながついてくるわけだ。立派にリーダー、できてるよ」という音無くんのセリフは、まさにその実感を語ってるとこでもあるんですね。「思わず」助けるために動いてしまった。「思わず」自分もゆりについていってしまった(=天使と戦ってしまった)。音無くんの判断保留という心を「思わず」打ち破らせてしまう、「思わず」人を動かす、ゆりっぺの牽引力。それはみんなを動かすものであり、また音無くんを動かすものでもあり、またこのように、物語も動かしていくものでしょう。
  • ということで、また来週。

*1:演出という言い方していいのか分かんないけど

*2:光の玉(仮称)がらみの何かかもしれませんけど。

*3:「やるべき」なのか否かは不明なんですが。それはゆりっぺ達から見た「成仏に向かわせる的行動」にしてもそうで、なぜ彼女がそれをするのか?その真なるところは未だ不明である。

*4:まあその前に銃を撃ってるんですけどw